自分が、日本人だと、日々痛感する。

前のブログからの続き。

この国の人の陽気さ、人懐っこさ、親切さ。

そういうのに惹かれて来たのかもしれないけど、深く相手や自分を見て行くと、自分が日本人で、日本人って特異な人種だと実感する。

私がこの国に長く滞在をしたかった理由は、戦後、アメリカに盾をついたらどうなるか。日本人のアイデンティティを無くしてしまった事に気づいた戦後育ちの私は、混乱と怒りをどう整理したらいいか解らなかったの。

それは、ある程度整理がついた気がするの。
その整理が終わったら、次の扉が開いたというか。

今、ゆっくり楽しみながら読んでいるのが、小泉八雲。
ラフカディオ・カーン。
「耳なし芳一」を書いた人で、多くの日本の怪談を書いている。

1850年にギリシャで生まれ、イギリス→アメリカに住み、明治23年(1890年)に日本に来て、日本で結婚して、帰化して、日本で亡くなる。

外国人の目に映る日本の姿。
外国人が外国人に書いた日本を紹介する書物。

それを読むと、日本が如何に特有な文化や信仰を持っていたのかが感じられる。

特に、信仰や宗教に関しては、自分の心をたどっていくと、確かに根底にそういった物が残っている。自分の中のそういった物の破片を拾って、その破片が何なのかを八雲の文章と照らし合わせる。彼が書く日本の怪談は日本ならではの信仰、風習、心情がある。そういった物も外国人の彼にとってはとても惹かれたのかもしれない。私は大人になるまで「耳なし芳一」を書いたのが外国人だとは思いもしなかった。

西洋人から見ると、日本は、本当に、不思議な国だったんだろうな、と知る。

でも、それが、私たち日本人の宝物でもあるのかもと。

元々持っている物のありがたみは解りにくい。日本古来の物は古臭くて、色んな事や物が西洋式になってしまっていた。でも、信仰や宗教を掘り下げていくと、私たち日本人はキリスト教とは全く違うものが根底にある。だから安易に西洋式を受け入れる事には、突き詰めて行くと無理があるんじゃないかと。

最近ちょっと観光もしている。

モロ要塞の大砲を見に行った。夜9時になると毎晩大砲の儀式があるの。
旧市街にある教会に行った。
国立芸術劇場に行った。

街を見回すと、スペイン植民地時代の名残が沢山ある。
というか、そういった建物はどれも、スペイン植民地時代のもので、この国、この土地に元々あったものではない。

教会に入った時、一緒に行った友人(日本人)は「わぁ大きい」と言った。
私は、「小さいのね・・・」と言った。

スペインには行った事はないけど、イタリアに行った事がある私は、ハバナにある教会はとても小さい物だと思った。とはいえ、たくさんの物をスペインから持ってきて、ここに彼らの街を作っていったんだと感じた。

キューバの原住民は殺されたり、病気で亡くなったりで全滅したらしいので、キューバは1492年にコロンブスが来て以降に土地や自然以外の人工物や文化はすべて新しく作られたという事だと思う。最初の奴隷は1522年にアフリカから来て350年間奴隷制度があったらしい。

1898年にスペインとアメリカが戦争し、1902年にキューバは独立。と言っても、アメリカの後ろ盾での名目上の独立。そこから1956年のゲバラやフィデルカストロによる本格的な革命(戦争)が始まり、1958年に親米政権を倒し、新しいキューバが始まる。

日本の江戸時代は1603年~1867年(鎖国は1639年~1853年)。平安時代は794年~1185年の400年弱。←こういった時代に日本の美しい文化が特に育って行ったのではないかと。

若い頃は、鎖国はいいものだとは思っていなかった。歴史の教科書に「ペリーが来た!開国だ!」みたいな感じに書かれていて、開国がいい事だと思っていたけど、世界や歴史を知ると、江戸幕府は鎖国をして日本を西洋の植民地支配から守っていたんだろうと思うようになった。

ちなみに、イギリスからピューリタンの一部がメイフラワー号でアメリカへ渡ったのが1620年。

ここに居て気づいたのは、キューバは新しく独自の文化を作っている(育てている)過程の国なんじゃないかと。スペインやアメリカの下で「独立」をなせてなかったという事は、自ら文化を育てる事は困難で、元々の土地の民族も無く、革命後にそれらを整理整備し、キューバの文化を育てようとしているんじゃないかと。

日本は、過去に育てた文化を思い出し、守る段階なんじゃないかと。この国に住んでみて、歴史や文化が私たちの財産である事に気づきました。幸い、中国のように文化大革命で内側から文化を破壊した歴史も無く、あえていえば、外側からの破壊があったとしても、内側からじゃないので壊れ方が違う気がするの。

日本で生まれて、土地独自の風土や風習、信仰というものは、思った以上に深い部分に根付いていて、日本人の自分たちですらそういった事を理解できてない。キューバ人がいくら「サムライ」に憧れても、理解し得る事はとても難しいと思う。

だから日本は素晴らしい。
と、言葉や本などの知識で思うのではなく、若い人たちには、実際に外国に住んで、悩んで、考えて、気づき、日本に帰って・・・無知だった私が若い頃に踏みつけた日本を善き国にしてほしいと、勝手に思う。

そして、日本が抱える問題や、心の問題がどうして起こっているのか、どう乗り越えて行けばいいのかも考えてほしい。外に出ないと気づかない事は沢山ある。

時間をかけて育った文化、情緒、信仰、特に精神文化は日本独自の、日本の宝物なんだと、今更気づく。

アメリカにも住んで居たけど、そこでは気づかなかったのか。
私の場合はあの段階ではアメリカを追う事で一生懸命だったのか、気づかなかった。

今後の白石はどうするんですか?
今はまだわからない。

ただ、気づいている事は、もうそれ程若くない。