4年ほど前、「海外に出るメリット、デメリット。逃げまくる私」という記事を書きました。
時々、「海外に出るメリット」という検索からサイトを訪問して下さる方々が居ます。私も色々変わったし、もうちょっと一般の方が受け入れやすいかなという事を書こうと思います。

私は1969年生まれ。アメリカに憧れた世代です。親もアメリカに憧れる人が多い世代で、小学生の頃からアメリカ映画やアメリカ音楽に囲まれて暮らしました。私が始めて外国に行ったのは、1989年、20歳の時です。アメリカや海外に行く事が経済的にも一般化してきた時代です。

中学高校では不良じゃないけど、殆ど勉強をしなかった子で何とか卒業。一応学年の96%が進学をする学校でしたが、家庭の経済的理由で私の最終学歴は高卒です。

憧れで行ったニューヨーク。
親からの経済的な援助はなかったので、水商売をしながら行ったり来たりで、足掛け10年ニューヨークに居ました。アメリカに関わる事でやった形になったことはAngels Swingという音楽と戦争の歴史に関わるプロジェクトです。(今、サイトを作り直してるけど、完成していません)

別に家にお金があった訳でもなく、勉強が出来たり大きな目標があった訳でもなく。そういう事を前提に読んでください。

結論から言うと、20歳で海外に出て良かったととても思います。

例えば、20年という期間。その時代の変化の中に居ると、世の中に色々な事が起きていながらも、経過とともに生きています。でも、20年という時間をスパッと、経過を飛ばすと、凄い変化が起こっています。今から約30年前、19歳、20歳だった私には今の世の中なんかまったく想像も出来ませんでした。もちろんインターネットはありませんし、国際電話の料金も当時は1分200円位払っていたと思います。情報量は全く違いますし、価値観も変わっていますし、海外との接点、境界線は全く違います。

私のような底辺に近いおばさんでも、英語が多少わかる事と、多様性を身近に体験できたことはこれから英語が解って当然で、色々な国の人達と関わりざる得なくなるであろう時代が来る事は必然だと思うので、これからの社会や価値観を多少なりとも理解できるかもしれないと感じます。

アメリカ(ニューヨーク、1989~2008年)では、どちらかというとアメリカの価値観を追っかけて育った世代でもあるし、映画やドラマでもアメリカの価値観や文化に触れることも多いのですが、キューバに住んだことは、私にとって色々と衝撃で、カルチャーショックは否めませんでした。ニューヨークにいればラテンアメリカの人達は沢山いるのですが、ニューヨークに居た頃は、全く興味が無く全く気にも留めない人種たちでした。でも、ラテンアメリカの扉を開くと、スペイン語を話すラテンアメリカの人達(ヒスパニック)は凄くすごくたくさんいて、驚きました。45歳を過ぎて本当に自分は何も知らなかったと思いました。

アジア圏、ラテンアメリカ、中東、アフリカ、それぞれの国にはそれぞれの歴史があり、宗教や歴史が民族やその社会に影響する事は色々あると思います。キューバ人の中に入っていろいろな疑問を感じ、違いを感じ、違いを感じることで、日本がいかに特殊な歴史や文化や宗教観を持っているのか気づけた気がします。

これからは、翻訳機能がどんどん進歩するから、英語は不要だと言う人もいますが、英語が解れば情報量は驚くほど違います。私はそれ程英語が出来る訳ではないので、多くの情報の前で自分の語学力の低さに愕然として、根性ない私は結局日本語でネットサーフィンをします。世界では母国語が英語じゃなくても英語を普通に理解し「使える」人達が多くいます。英語は共通言語だと実感します。

若い頃には、まぁ、70歳位で死ぬのかなぁ、と、思っていましたが、全体的に寿命も延びていて、90歳位まで生きるんだろうな、と思うようになりました。今からの20年は世界中の情報に触れながらそれぞれが刺激し合い、より大きくいろいろと変わってくる、予想がつかない未来になる気がします。

もし、何も目標も無く生きているのであれば、一定期間一生懸命バイトして倹約して、旅に出てみたり、出来れば数か月、数年をどこかの国で暮らしてみるのもいいと思います。私の若い頃はワーキングホリデーの制度がまだ充実していませんでしたが、今の人達はそういう選択もありますよね。

言葉はもちろんですが、多様性を多少なりとも理解する事や、日本を知る為(違いを感じることで自分が解る)為にとてもいいと思います。そういった事は海外に居たら、特に日本の価値観とかけ離れている国に居れば否応なしに経験すると思います。

私は小学生時代にあった苛めで、隣県の私立中学に逃げました。あれはまさしく「逃げ」でした。大人になってからも、日本や家族や、地元のコミュニティから逃げまくったのかもしれません。でも、逃げた先には違う常識や違う価値観、違う人達が居ました。逃げることで追い詰められずに何とか生きて来れたのではないかとも思っています。また、逃げた事で、多少の英語の習得と、少しのスペイン語と、多様性を理解せざる得ない経験をしました。こういった事は、これからの若い人たち、学歴が高い低いにかかわらず、勉強が出来る出来ないに関わらず、インターネットによって世界がつながらざる得ない、繋がって出来ていく社会を生きなくちゃいけない時代に必要な社会経験にもなる気がします。

日本は世界的に見て安全さがずば抜けています。なので、外国の多くは日本に比べると危険も多いと思います。何をもって危険と言うかは色々なレベルがありますが、騙されたとか、盗まれたレベルは大概起こる事だと思います。私も20代の頃にニューヨークで空き巣に遭っていますし、地下鉄で脅された事もあります。キューバでも色々ありました。どれも日本では殆どあり得ない事でした。どうしてそういう事が起こるのか、その国の社会的な背景や問題等々色々な事が絡んでいます。

騙されたや、盗まれたは、今まで考えもしなかった事を考えたり、理解せざる得ない経験にもなると思います。そうやって日本以外の国の事を知っていくのだとも思います。またその事で日本を改めて知る事にもなると思います。自分がとても困った時に、助けてもらったりする事で、異人種の人達と何かの距離が縮まったり、心が触れ合う経験をする事もあると思います。命を落とさないレベルでしっかり気を付けてください。

海外に出るメリットとデメリットを比べると、私としては出てみることのメリットの方が多い気がします。勉強が好きじゃなくて落ちこぼれた人たちも、出て見ることで考えもしなかった得られる経験やふれあいがあると思います。

今私がメキシコで借りている家は、私が日本人だからか結構すんなり簡単に貸してもらえました。ただ家賃をきちんと払って、キレイにお部屋を使っているだけだと思いますが、キューバで住んで居た頃も大家さんに「ほかに日本人の人は居ないか?」とよく言われました。

日本のパスポートは素晴らしいと思う。特にラテンアメリカに来て気付きました。日本の政府や日本人たちが世界の中でやってくれた事が海外で暮らしてみている、日本が嫌で飛び出した私を助けてくれています。

そういった事に現実の中で気づかせてくれたのも海外に、特にラテンアメリカに来てからだと思います。

きっとこの先、10年、20年した時に、異国との扉は否応なしにもっともっと身近になると思います。外国での暮らしを経験する事は、未来に生きる上できっと必要となるであろう多様性を理解するための準備や心構えになる気がします。

いじょう(∩´∀`)∩

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写真は2000年に行ったインド。色々カルチャーショックで2か月の予定だったのが、1カ月で挫折。ムンバイからイタリア行きのチケットを買って逃げました。すっごい悔しくてその後2002年にもう一回インドに行きました(笑)。