旅から帰って、虫刺されがひどくて、ダニだったら困るので、持ち物全て洗濯したら、洗濯機が壊れて、大家さんに言ったら今日修理の人と一緒に家に来たの。
いつもすごく元気にSHOKO! Como estás? という。
私は「すごく疲れてる・・・」と言った。
200か所以上の虫刺されにも参ったし、旅で見た事や、やってきた事、自分のキャパを超えたのね。頭では理解してそれはそれと受け入れ、尊重しようと思っても、どうしても心や気持ちが受け入れらない。
この数か月、人との関わりにもとても疲れた。
自分の経験値では理解納得が難く、受け入れられない事だらけ。頭では理解できても、心では受け入れられない。
どう説明したらいいのかよく解らないの。
腰が抜けそうになる様な事が色々。
腰が抜けそうというのは、想定外と言うより、ガクン、と、呆れるような、呆然としてしまうような感じ。あまりに呆れてしまうレベル。だから怒りたくても怒るのが馬鹿らしいし、相手に怒っても多分通じないし、理解できないだろうとも思う。だからそれらを自分の中で分析し、何とか理解納得させて消化させようとするんだけど、心では受け入れられなくてすごくストレスになってたんだと思う。
ダニーのパパは娘のダニエラがひと月半前に男作って息子連れて出て行って、パパは寂しさのあまりひどいアル中に逆戻りで、家の中はグチャグチャでハエが飛び回ってる。ダニエラと今までいろいろと話して来たり、計画していた事は突然消えたし、呆れて呆然としてしまうような言動や行動も色々。でも、彼女は私を信頼して慕っていたし、彼女のバックグランドを考えると、ちゃんと教えてくれる大人が居なかったんだろうと理解しようとしてきたけど、スパッと出て行った時に、キツネにつままれたのか、裏切られた感のような、妙な衝撃があったの。
パパは、顔も洗わず、髭もそらず、酒臭く、訳の解らない事いう。ご飯も食べてないからご飯を食べに連れて行ったりした。マイアミの妹に状況を知らせても、返事は無し。ダニーは本当に糞なので連絡は出来ない。結局パパの生き方が問題だったわけだとは思うけど、ボロボロの老人を放っておくわけにはいかないけど、何をやっても一時しのぎで、破れたザルみたいというか。結局家族しか責任が取れない。でも、パパの生き方が無責任で出鱈目だった訳よね。そういう家族環境で育った訳で、だから家族も私の思う「責任」の意味は解らないのかもしれない。
でも、キューバは無責任な父親がとても多いの。私から見て、無責任と感じるだけで、彼らの社会では比較的そんなものかもしれない。だから私が思う「父親の責任」は、ここでは通用しないし、それ以前に理解できなかったり、もしかしたら「父親」の概念と言うか役割が違うのかもしれない。「週末に母親の家で暮らす子供と過ごす父親」は良い父親の様だ。
今回の旅でも私の中で色んな混乱があったの。
家族の形や在り方、衛生、現実、不便さ、田舎の黒人の暮らし。サンテリアと言う宗教の儀式。私の中で上手く整理や理解納得、消化が出来なかったの。
でも、みんな、私にとても優しくて親切なの。
サンテリアとは、西アフリカから連れてこられた人たちが、キリスト教を隠れ蓑にして彼らの元々の宗教とミックスしたという感じかな。
太鼓の音が聞こえる所に行くとそこで儀式をしていたの。
いっぱい人が居て見えなかったんだけど、ヤギの首を切っていたらしい。友達曰く、首のないヤギが居たと。その後、村の人たちが私に見えるように前に通してくれたの。司祭みたいな人が生きたニワトリの首を切ったの。でもニワトリはまだ生きててバタバタしてるの。その首から出ている血を自分や信者たちに塗るの。その次に、その首から出ている血を舐めるの。みんな喜んでるの。次に、脚を切るの。
みんな歌ったり踊ったりして歓喜してるの。
その後、司祭のような人が、私たちを近くに呼んで、ろうそくの火を見ながら何か言ってるの。リーディングをしてくれたの。スペイン語だからあまり解らないんだけど、当たってることもあるけど、そうじゃない事もあったわ。
外に出ると、太鼓をたたいて、歌ったり踊ったり、トランス状態で踊っている人もいた。
私、子供の頃にテレビでブードゥーの儀式を見てとても怖かった事を覚えてる。これって、ブードゥーに似てるかもって思った。はっと思って、カサンドラウイルソンと言う黒人歌手がアメリカ合衆国南部をテーマに作っているアルバムが何枚かあるから聞いてみたら、何かが似てるの。
ハバナに帰ってインターネットで調べると、ブードゥーは西アフリカからハイチに連れてこられた人たちの宗教で、ニューオリンズなどのアメリカ合衆国南部でも信仰されてるみたい。
キューバ人の友達曰く、サンテリアは呪術も盛んで、呪い殺したりもできるらしいの。彼も元々はサンテリアを信仰していてキリスト教に改宗したみたい。彼のお父さんとお母さんも元々は信者で改宗したらしいんだけど、お父さんは49歳の時に亡くなったんだって。女好きのお父さんで、なんか色々言っていたけど、なんせスペイン語なので。
とにかく、呪術という面ではとてもパワフルらしいの。
その村で見た、人々の生活。
温かさと、笑顔と、真っ黒になるほどのハエ。
沢山の虫刺され。
旅の交通手段も、キューバ人の交通手段で移動したの。
エアコンの無い、シートの破れた長距離バス。
インドどころじゃないボロくて質素なバス。
【馬車こんな感じ】
トラックにバスのシートを取り付けた乗り物で14時間かけてハバナに戻って来た。
きついな。汚いな。
と思っても、これが、キューバの現実で全てを経験だと思う。
汚いな。
って思っても、みんな優しくて、とても親切。だから「汚い」に目をつぶる。
でも、頭と心が上手く理解納得、整理が出来なかったの。もし、みんなが危険で不親切だったらまた違ったのかもしれない。
混乱して、疲れ果ててた。
大家さんの奥さんが、「旅はどうだった?」と聞いたとき、話しながら泣いてた。旅だけじゃなくて、私が混乱してしまった人々との事も。私の当たり前は通用しない。「違う」という事を「理性」で理解納得して、受け入れようとしていたけど受け入れられない。良かれと思ってやった事の数々が、ザルが破れていてこぼれていくような。混乱をして、心は疲れ果ててた。
大家さんはきれい好きでいつも時間や約束をぴっちり守ってくれる。
奥さんは「同じ本当の両親の元」3人きょうだいで育ったと言っていた。
去年のキューバ、マイアミ、ニューヨークの旅で、キューバ人たちを見つめて来た。その旅が終わる頃、すごく混乱した。あの混乱と、今回の混乱の本質は同じような気がするの。
キューバの歴史、社会システム、経済、家族のシステム、宗教。
それぞれの、様々な要素が、絡み合い、影響し合う。
日本の歴史、社会システム、経済、家族のシステム、信仰、風潮、
それぞれの、様々な要素が、絡み合い、影響し合い出来上がった私の中の物とが上手く折り合わない。どちらが正しいとは言えない事は頭ではわかってる。だから混乱するんだと思う。
ハバナの私のアパートにはハエはいない。別に神経質に掃除をしている訳ではなく普通にしている。私にとっての普通と彼らの普通が違うだけ。
そう、「私にとって」は不潔だったんだよ。
泣いたら少しすっきりしたから午後
夕方から、
クリームチーズを入れてカスタードクリーム作ってクレープ焼いてみたり、
も作ってみた。ケチャップとかに混ぜるとバリ美味。
こんな村