ダニーの生家は、ハバナから1時間半ほどのサンタ・クルス・デル・ノルテという村。
グワグワと言われる、市バスでGANABOという終点まで行き、そこから乗合のトラックに乗る。市バスは0.4ペソ。たいがい1ペソを渡して、おつりはない。1ペソは5円位。乗合のトラックは10ペソ。
きれいな海岸線をずっと走る。
サンタクルスでトラックを降りて村のメイン通りを歩いていると、風の音が聞こえそうな程に静かな村。初めて行った時、メイン通りで若い男の人たちに声をかけられた。その人たちに、行き先の住所を見せると、ダニーの友達で、家まで連れて行ってくれた。
その家には、お母さんと、ダニーのおじさんが住んでる。
ダニーのお母さんは72歳。
1952年から革命直後の1959年までニューヨークのブルックリンで育ち、アメリカで教育を受けているので英語が話せる。
革命後にアメリカからキューバに戻った家族。
この家は自分の家で、キューバは医療も無料。ニューヨークでは小さな部屋を借りて住んでた。
ダニーのお母さんは、キューバでの生活の方が好きらしい。
つい先日行った時もその話をしてて、家は親の代からのもので、今は半分がパチューロ(ダニーのおじさん)の家だと。
「え?革命後に全部没収されるんじゃないんですか?!」
「レストランを持っていて、そのレストランは没収されたわ。それは仕方ない事よ。」
「この村は、漁師町でしょ。お魚とか買える?」と聞くと、お魚は政府が管理しているから、ここが漁師町だからといって、魚が買えるわけじゃないそうだ。
ダニーは、キューバに来れないのではなく、来ないらしい。
キューバを離れて、20年。一度も戻って来てないそうだ。
アメリカとの国交が回復するとアメリカへの行き来がし易くなるのかと思ったら、お母さんは、アメリカのビザを5年持っており、いつでもアメリカに行けるらしく、近年はダニーの呼び寄せで、毎年アメリカに行っているらしい。
今月末、私も知っているダニーの友達がキューバに帰省する。
キューバ人のアメリカとキューバの行き来は、私達が思っている以上に難しい事ではない気がする。アメリカに家族がいるとビザは取りやすいらしい。
ダニーと孫のイザベラの里帰りは、お母さんの唯一の願いらしい。
ダニーがどうしてキューバに帰省しないのか。
私の知った事ではない。
が、ちょっと気になる。ねっ